1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 17:50:28.555 ID:4Y1zSz2z0.net
男「現実は嫌なことばかりだ……だからせめてサキュバスに慰めてもらおう」
男「出でよ、サキュバス!」
ズオオオオオッ…
サキュバス「……」
男(おおっ、調べた通りにやったら、本当にサキュバスが出た!)
サキュバス「オッス、オラサキュバス!」
男「え……?」
5: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 17:53:44.287 ID:4Y1zSz2z0.net
サキュバス「おめえがオラを呼び出したんか?」
男「ええ、まあ……」
男(おかしいぞ、想像してた性格とだいぶ違う)
サキュバス「オラになんか用か?」
男「あの……エッチなことをしてもらおうかなって……」
サキュバス「エッチなこと? ああ、じっちゃんが好きそうなことか!」
男(じっちゃんって誰)
サキュバス「んじゃ、いっちょやってみっか!」
男「いや……あの……いいです」
サキュバス「え、なんでだ?」
男「なんというか、実物見たら冷めちゃったというか……」
サキュバス「ふうん、まあいいけどさ」
男「すいません、せっかく呼び出しておいて……」
サキュバス「じゃあ、メシ食わしてくれ! オラ、腹減っちまった!」
男「へ?」
男「インスタント食品しかないけど……」
サキュバス「うめぇ~!」ガツガツ
サキュバス「魔界はろくな食い物がなくてよ。こんなうめえメシ久しぶりだ!」ムシャムシャ
男「はぁ……」
男(しかし、よく食うなこのサキュバス)
男(買いだめしてた食料が全部なくなっちゃうよ……)
サキュバス「ふぅ~、食った食った」
サキュバス「んじゃ、そろそろ寝るとすっか!」
男「じゃあ、ここで寝て下さい。俺、あっちで寝るんで」
サキュバス「サンキュー!」
サキュバス「ぐぅぅ……ぐぅぅ……」
男(見た目はサキュバスなのに……色気なんざあったもんじゃないな)
男「おはようございます」
サキュバス「オッス! あれ、どこ行くんだ?」
男「高校です」
サキュバス「ふうん、そういや父ちゃんや母ちゃんは?」
男「一人暮らしです。でなきゃサキュバスを呼び出したりしませんよ」
サキュバス「立派なもんじゃねえか」
男「単に親が嫌いなだけですよ。結局親からの金に頼ってるし」
男「それじゃ、行ってきます」
サキュバス「……」
サキュバス「へへ、オラもこっそり覗いてみっか!」
<学校>
ガラッ
男「……」
不良「おっ、来たな」
男「なに……?」
不良「ジュース買ってこいや。もちろんお前の金でな」
金髪「俺はサイダー!」
ピアス「俺、豆乳!」
男「わ、分かったよ……」
放課後――
男(早く帰ろう……)
不良「ちょーっと待てよ」
男「!」ビクッ
不良「俺らゲーセン行くからよ。1000円ずつくれや」
男「また……? もうお金ないよ……」
不良「ウソつけ! お前一人暮らしだから、結構仕送りでもらってんの知ってんだぞ!」
男「うう……」
不良「とっとと出せ!」ドカッ!
男「はいぃ……」
男「はぁ……今日もひどい目にあった……」
サキュバス「よっ!」
男「あ、サキュバス……」
サキュバス「朝から見てたぞ。おめえ、ずっとあいつらにいじめられてたじゃねえか」
サキュバス「どうしてやり返さねえんだ?」
男「やり返すって……そんなことできないですよ」
男「あっちのが数も多いし、喧嘩も強いんだから……」
サキュバス「だけど、このままじゃずっとあいつらの言いなりだぞ。それでいいんか?」
男「そんなこと分かってますけど……」
男「やり返したら、どうせボコボコにされるだけだし……。先生にいったって無駄だし……」
サキュバス「……」
サキュバス「よし、だったらオラがおめえを強くしてやる!」
サキュバス「さっそく空き地で修行開始だ!」
男(どうしてこうなるの……!?)
<空き地>
サキュバス「じゃ、まずパンチの打ち方からだ」
男「はぁ……」
サキュバス「パンチは……こう!」ビュッ
男「こう?」ヒュッ
サキュバス「もっと腰を入れねえとダメだ」ビュッ
男「えいっ!」ビュッ
サキュバス「おおっ、おめえなかなかスジがいいぞ!」
男「はぁっ!」ビュッ
男「はぁっ!」ビュッ
男「はぁっ!」ビュッ
サキュバス「だいぶよくなってきたぞ!」
男「はぁ、はぁ、はぁ……」
サキュバス「だけど、おめえ体力ねえなぁ。よーし、明日からはもっと本格的に鍛えてくぞ!」
男(とんでもないことになってきた……)
次の日――
サキュバス「今日も修行だ!」
男「はい……」
サキュバス「さっそくだけど、おめえにはこれをつけてもらう」
男「なんですか、これ?」
サキュバス「サキュバスの羽根だ」
男「なんでこんなものを……」
サキュバス「いいから、つけてみろって」
男「う……」ズシッ
男「重いですね、これ……」
サキュバス「今日から修行中はずっとこれをつけてもらう」
男「ええっ!?」
男「こんなのつけてたら、体壊しちゃいますよ!」
サキュバス「心配すんな、そこらへんはオラが見極めてやるから」
男「いやいや」
サキュバス「それじゃ走るぞ! しゅっぱーつ!」タッタッタッ
男「ひええええ……」タッタッタッ
サキュバス「えっほ、えっほ」タッタッタッ
男(こんなものつけて走るなんて恥ずかしい……)タッタッタッ
男「はぁ、はぁ、はぁ……」
男「もう……走れ……ません……」ハァハァ…
サキュバス「よし! ちょっと休んだら、パンチとキックの特訓だ!」
男「えええ、これで終わりじゃないんですか……」
サキュバス「当然だろ。呼び出されたからには、ぜってぇおめえを強くしてやっからな!」
男(サキュバスってこういう魔物だったっけ……?)
それからというもの――
<学校>
不良「次、理科室だから俺らの荷物持てよ」
金髪「頼んだぜ~」
ピアス「豆乳もな!」
男「分かったよ……」
<空き地>
サキュバス「せやっ!」ビュッ
男「せやっ!」ビュッ
サキュバス「うりゃっ!」ブンッ
男「うりゃっ!」ブンッ
しばらく経ったある日――
サキュバス「そろそろ、羽根を取ってもいいぞ」
男「いいんですか?」
サキュバス「その状態で、オラと組み手してみろ」
男「分かりました!」
男(この状態で本格的に動くのは初めてだな……)
男「とりゃーっ!」ブンッ
男「!」
男(速い! 自分でも信じられないくらい速く動ける!)
男「だりゃーっ!」
バババッ! ガガガッ!
男「でりゃーっ!」
ドガガッ! ガガガッ!
男「はーっ!」
バキィッ!
サキュバス「……」
サキュバス「やるじゃねえか! オラ驚いたぞ!」
男「こんなに強くなってたなんて……!」
男「せやぁっ!」
バシッ!
サキュバス「よし、こんなとこでいいだろ!」
男「はい!」
サキュバス「スタミナもついたみてえだな。全然息が上がってねえ」
サキュバス「今のおめえなら、あの三人ぐらいやっつけられるはずだ!」
男「ありがとうございます……やってみます!」
<学校>
不良「おう、今日もジュース買ってこいや」
金髪「俺、ポカリな」
ピアス「俺、豆乳!」
男「ジュースならお金を出して自分で買ってきなよ」
不良「……なんだと?」
男「悪いけど……いや、悪くなんかないか。もう君らに従うことはしない!」
不良「てめえ、面白いギャグぶっこくようになったな……放課後ツラ貸せや」
放課後――
不良「よく来たな、チクるか、逃げちまうかと思ったぜ」
男「……」
不良「二度と逆らおうなんて思えねえようにしてやるよ。やっちまうぞ!」
金髪「おう!」
ピアス「豆乳パワー全開!」
男「……来い!」
金髪「オラァッ!」ブンッ
男(見える……)サッ
男「だっ!」ドゴッ!
金髪「うぐっ……!」
ピアス「豆乳キック!」シュッ
男「はあっ!」ドガッ!
ピアス「とうにゅあっ!?」
不良「な、なんだと……!?」
不良「くそぉっ!」ブンッ ブンッ
男(サキュバスの攻撃に比べたらスローモーションだ!)
不良「ちょこまかすんじゃねえよ!」ブンッ
男「でやぁっ!」
バキィッ!
不良「ぐわあっ!」ドサッ…
不良「うぐ、ぐ……」
男「今までのお金を返せとはいわない。だけど、もう俺には近づかないでくれ」ザッザッ…
不良「く、くそぉぉぉ……」
サキュバス「オッス!」
男「あっ……」
サキュバス「見てたぞ。やったじゃねえか!」
男「ありがとうございます!」
サキュバス「オラとしても、呼び出されたかいがあったってもんだ!」
男「今日はたくさんご馳走しますよ!」
<学校>
同級生A「昨日の漫才バトル見た?」
同級生B「見た見た!」
男「面白かったよねー」
ワイワイ…
不良「……」
金髪「……」
ピアス「……」
男(あれ以来、あの三人は大人しくなった。ずっとあのままならいいんだけど……)
ある日――
不良「な、なぁ……男君」
男「?」
不良「今まですまなかった! 本当にごめん!」
男「……!」
不良「三人で君にお詫びをしたいんだ。放課後、俺たちに付き合ってくれないか?」
男「……」
男(反省してるようだし……)
男「うん、分かった。付き合うよ」
男「どこまで行くの?」スタスタ
不良「こっちこっち。高校生が遊ぶのにいい店があるんだ」
男「なんだか人気のないところに来たけど……」
金髪「ククク……」
ピアス「にゅにゅにゅ……」
不良「先輩、お願いします!」
OB「おーう」ズイッ
男「!?」
OB「こいつをやればいいんだな?」
不良「はい、お願いします!」
OB「ただし、礼は弾んでもらうぜ」
不良「それはもう……」
男(くそっ、まんまと騙された!)
OB「さぁて、後輩たちを可愛がってくれた礼をしねえとな」パキポキ
男(強そうだ……!)
男(だけど俺だってサキュバスと修行したんだ……! こんな奴に負けない!)
――バキィッ!
男「ぐはぁっ!」
男「く、くそ……!」
OB「オラァッ!」
ドゴォッ!
男「ぐほっ……!」
金髪「いいぞー!」
ピアス「豆乳ーっ!」
不良「OBさんはマジで格闘技やってんだ。お前なんかが勝てる相手じゃねえんだよ!」
OB「どうだ!」バキィッ!
男「がふっ!」
OB「これで決まったろ!」
男「ま、まだまだ……。負けてないぞ……」ヨロ…
OB「くっ、こいつ……!」
OB「しつけえんだよ!」ブンッ
ガシッ!
OB「!? 俺の拳が……!」
サキュバス「……」
OB「なんだお前!?」
男「サキュバス……!」
サキュバス「すまねえ、オラが甘かった。一度やっつければ、こいつら懲りると思ってた」
サキュバス「オラがおめえにやり返せといったからこんなことに……」
男「そんなこと……ない……」
男「俺は……強くなれて……嬉しかった、から……」
サキュバス「あとはオラに任せろ」
男「は、い……」
サキュバス「おめえたち……もう謝っても許さねえぞ!」
OB「なんだとォ~!?」
OB「いっとくがな、俺の拳は石をも砕くんだぜ!」
OB「ふんっ!」グシャッ!
サキュバス「……」
OB「どうだ、ビビって声も出ねえようだな!」
OB「俺は女だろうが、手加減はしねえ! 死ねぇっ!」
ドゴォッ!
OB「へっ、決まったぜ!」
サキュバス「こんなもんか?」
OB「な……!?」
サキュバス「石は壊せても……たった一人のサキュバスは壊せないようだな」
OB「ひ、ひいい……」
サキュバス「おめえにはオラのとっておきを見せてやる」
サキュバス「サ、キュ、バ、ス……」
サキュバス「波ァーッ!!!」
ズオオオオオオッ!!!
OB「うっ、うわあああああああ……!」
あぁぁぁぁぁ……!
サキュバス「どこか飛んでいっちまったか。ま、手加減したから死んじゃいねえだろう」
不良「ひ、ひいい……!」
サキュバス「さて、次はおめえたちだ」
不良「あわわ……」
金髪「なんだこいつ……!」
ピアス「豆乳……!」
男「俺だって……まだやれる、ぞ……」ヨロ…
不良「わわぁぁっ! こいつも復活しやがった!」
サキュバス「さあ、どうする!」
男「かかって……こい……」
不良「ひいいい……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」
不良「ほら、俺たちの金を渡すから! だからもう許してくれぇぇぇっ!」
サキュバス「なら、とっとと失せろ!」
不良「ひええええっ……!」
金髪「うわあああっ……!」
ピアス「豆乳飲もう……!」
タタタッ…
サキュバス「ほら、魔界の豆だ。こいつを食え」
男「ん……」ポリッ
男「わぁっ、すっかり怪我が治った!」
男「ただし……メチャクチャマズイけど」
サキュバス「だろ? だから、オラもあまり食いたくねえんだ」
サキュバス「よくやったぞ。あのつええ奴相手に一歩も引かなかった」
男「うん……たとえ勝てなくても、絶対負けたくなかったですから」
サキュバス「そう、武術ってのは勝つためじゃねえ……絶対負けないためにやるもんなんだ」
サキュバス「もう心配ねえ。これからはおめえ一人で大丈夫だろう」
男「ってことは……行っちゃうんですか?」
サキュバス「ああ、あまりこっちに長居するのもよくねえしな」
男「寂しく……なります」
サキュバス「オラもだ。だけど、これで一生のお別れってわけじゃねえし、いつでも会えるさ」
男「そうですよね!」
サキュバス「今のおめえなら、父ちゃん母ちゃんとも仲良くできっだろ」
男「はい、後で電話してみます」
サキュバス「じゃあなー!」
男「さよならー!」
男(あまりにもさわやかに別れたおかげで、寂しさはほとんどなかった……)
<学校>
男(あれ以来、三人は俺を見るなり――)
男「おはよう」
不良「ひっ!」
金髪「あわわわ……」
ピアス「豆乳ぅ!」
男(よほど、サキュバスにやられたお灸が効いたんだろうな)
男(流石にもうリベンジに来ることはないだろう……)
男(それに今では、俺は自分でトレーニングしている)
男「ふんっ! ふんっ! ふんっ!」グッグッグッ…
男「腕立て伏せ100回、終わり!」
男「我ながら、だいぶ鍛えられてきたな」ムキッ
男(そうだ! そろそろまたサキュバスを呼び出してみるか……)
男(強くなった俺を一目見てもらうために!)
男(前に調べたのと同じやり方で……)
男「出でよ、サキュバス!」
ズオオオオオッ…
サキュバスB「……」
男「あれ? 違うサキュバスが出てきた」
男(そうか、毎回同じサキュバスを呼べるわけじゃないのか)
サキュバスB「貴様か、俺を呼び出したのは」
男「は、はいっ!」
サキュバスB「ほう……一見軟弱そうだが、それなりに強くはあるようだ」
サキュバスB「いいだろう。超エリートサキュバスである俺様が、直々に鍛え上げてやろう!」
男「えええええ!?」
男(どうやら、俺の修行の日々はまだまだ続きそうだ)
<終わり>
元スレ
サキュバス「おめえがオラを呼び出したんか?」
男「ええ、まあ……」
男(おかしいぞ、想像してた性格とだいぶ違う)
サキュバス「オラになんか用か?」
男「あの……エッチなことをしてもらおうかなって……」
サキュバス「エッチなこと? ああ、じっちゃんが好きそうなことか!」
男(じっちゃんって誰)
サキュバス「んじゃ、いっちょやってみっか!」
7: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 17:56:40.262 ID:4Y1zSz2z0.net
男「いや……あの……いいです」
サキュバス「え、なんでだ?」
男「なんというか、実物見たら冷めちゃったというか……」
サキュバス「ふうん、まあいいけどさ」
男「すいません、せっかく呼び出しておいて……」
サキュバス「じゃあ、メシ食わしてくれ! オラ、腹減っちまった!」
男「へ?」
11: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 17:59:22.999 ID:4Y1zSz2z0.net
男「インスタント食品しかないけど……」
サキュバス「うめぇ~!」ガツガツ
サキュバス「魔界はろくな食い物がなくてよ。こんなうめえメシ久しぶりだ!」ムシャムシャ
男「はぁ……」
男(しかし、よく食うなこのサキュバス)
男(買いだめしてた食料が全部なくなっちゃうよ……)
12: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 18:02:08.011 ID:4Y1zSz2z0.net
サキュバス「ふぅ~、食った食った」
サキュバス「んじゃ、そろそろ寝るとすっか!」
男「じゃあ、ここで寝て下さい。俺、あっちで寝るんで」
サキュバス「サンキュー!」
サキュバス「ぐぅぅ……ぐぅぅ……」
男(見た目はサキュバスなのに……色気なんざあったもんじゃないな)
14: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 18:06:08.664 ID:4Y1zSz2z0.net
男「おはようございます」
サキュバス「オッス! あれ、どこ行くんだ?」
男「高校です」
サキュバス「ふうん、そういや父ちゃんや母ちゃんは?」
男「一人暮らしです。でなきゃサキュバスを呼び出したりしませんよ」
サキュバス「立派なもんじゃねえか」
男「単に親が嫌いなだけですよ。結局親からの金に頼ってるし」
男「それじゃ、行ってきます」
サキュバス「……」
サキュバス「へへ、オラもこっそり覗いてみっか!」
15: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 18:09:22.327 ID:4Y1zSz2z0.net
<学校>
ガラッ
男「……」
不良「おっ、来たな」
男「なに……?」
不良「ジュース買ってこいや。もちろんお前の金でな」
金髪「俺はサイダー!」
ピアス「俺、豆乳!」
男「わ、分かったよ……」
17: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 18:12:21.159 ID:4Y1zSz2z0.net
放課後――
男(早く帰ろう……)
不良「ちょーっと待てよ」
男「!」ビクッ
不良「俺らゲーセン行くからよ。1000円ずつくれや」
男「また……? もうお金ないよ……」
不良「ウソつけ! お前一人暮らしだから、結構仕送りでもらってんの知ってんだぞ!」
男「うう……」
不良「とっとと出せ!」ドカッ!
男「はいぃ……」
18: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 18:15:21.178 ID:4Y1zSz2z0.net
男「はぁ……今日もひどい目にあった……」
サキュバス「よっ!」
男「あ、サキュバス……」
サキュバス「朝から見てたぞ。おめえ、ずっとあいつらにいじめられてたじゃねえか」
サキュバス「どうしてやり返さねえんだ?」
男「やり返すって……そんなことできないですよ」
男「あっちのが数も多いし、喧嘩も強いんだから……」
19: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 18:18:32.484 ID:4Y1zSz2z0.net
サキュバス「だけど、このままじゃずっとあいつらの言いなりだぞ。それでいいんか?」
男「そんなこと分かってますけど……」
男「やり返したら、どうせボコボコにされるだけだし……。先生にいったって無駄だし……」
サキュバス「……」
サキュバス「よし、だったらオラがおめえを強くしてやる!」
サキュバス「さっそく空き地で修行開始だ!」
男(どうしてこうなるの……!?)
20: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 18:21:05.063 ID:4Y1zSz2z0.net
<空き地>
サキュバス「じゃ、まずパンチの打ち方からだ」
男「はぁ……」
サキュバス「パンチは……こう!」ビュッ
男「こう?」ヒュッ
サキュバス「もっと腰を入れねえとダメだ」ビュッ
男「えいっ!」ビュッ
サキュバス「おおっ、おめえなかなかスジがいいぞ!」
23: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 18:24:49.449 ID:4Y1zSz2z0.net
男「はぁっ!」ビュッ
男「はぁっ!」ビュッ
男「はぁっ!」ビュッ
サキュバス「だいぶよくなってきたぞ!」
男「はぁ、はぁ、はぁ……」
サキュバス「だけど、おめえ体力ねえなぁ。よーし、明日からはもっと本格的に鍛えてくぞ!」
男(とんでもないことになってきた……)
25: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 18:28:20.397 ID:4Y1zSz2z0.net
次の日――
サキュバス「今日も修行だ!」
男「はい……」
サキュバス「さっそくだけど、おめえにはこれをつけてもらう」
男「なんですか、これ?」
サキュバス「サキュバスの羽根だ」
男「なんでこんなものを……」
サキュバス「いいから、つけてみろって」
男「う……」ズシッ
男「重いですね、これ……」
サキュバス「今日から修行中はずっとこれをつけてもらう」
男「ええっ!?」
27: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 18:31:09.417 ID:4Y1zSz2z0.net
男「こんなのつけてたら、体壊しちゃいますよ!」
サキュバス「心配すんな、そこらへんはオラが見極めてやるから」
男「いやいや」
サキュバス「それじゃ走るぞ! しゅっぱーつ!」タッタッタッ
男「ひええええ……」タッタッタッ
サキュバス「えっほ、えっほ」タッタッタッ
男(こんなものつけて走るなんて恥ずかしい……)タッタッタッ
28: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 18:34:30.615 ID:4Y1zSz2z0.net
男「はぁ、はぁ、はぁ……」
男「もう……走れ……ません……」ハァハァ…
サキュバス「よし! ちょっと休んだら、パンチとキックの特訓だ!」
男「えええ、これで終わりじゃないんですか……」
サキュバス「当然だろ。呼び出されたからには、ぜってぇおめえを強くしてやっからな!」
男(サキュバスってこういう魔物だったっけ……?)
29: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 18:37:37.488 ID:4Y1zSz2z0.net
それからというもの――
<学校>
不良「次、理科室だから俺らの荷物持てよ」
金髪「頼んだぜ~」
ピアス「豆乳もな!」
男「分かったよ……」
<空き地>
サキュバス「せやっ!」ビュッ
男「せやっ!」ビュッ
サキュバス「うりゃっ!」ブンッ
男「うりゃっ!」ブンッ
31: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 18:40:31.299 ID:4Y1zSz2z0.net
しばらく経ったある日――
サキュバス「そろそろ、羽根を取ってもいいぞ」
男「いいんですか?」
サキュバス「その状態で、オラと組み手してみろ」
男「分かりました!」
男(この状態で本格的に動くのは初めてだな……)
男「とりゃーっ!」ブンッ
男「!」
男(速い! 自分でも信じられないくらい速く動ける!)
33: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 18:42:41.519 ID:4Y1zSz2z0.net
男「だりゃーっ!」
バババッ! ガガガッ!
男「でりゃーっ!」
ドガガッ! ガガガッ!
男「はーっ!」
バキィッ!
サキュバス「……」
サキュバス「やるじゃねえか! オラ驚いたぞ!」
男「こんなに強くなってたなんて……!」
35: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 18:45:27.612 ID:4Y1zSz2z0.net
男「せやぁっ!」
バシッ!
サキュバス「よし、こんなとこでいいだろ!」
男「はい!」
サキュバス「スタミナもついたみてえだな。全然息が上がってねえ」
サキュバス「今のおめえなら、あの三人ぐらいやっつけられるはずだ!」
男「ありがとうございます……やってみます!」
36: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 18:49:08.561 ID:4Y1zSz2z0.net
<学校>
不良「おう、今日もジュース買ってこいや」
金髪「俺、ポカリな」
ピアス「俺、豆乳!」
男「ジュースならお金を出して自分で買ってきなよ」
不良「……なんだと?」
男「悪いけど……いや、悪くなんかないか。もう君らに従うことはしない!」
不良「てめえ、面白いギャグぶっこくようになったな……放課後ツラ貸せや」
39: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 18:52:17.329 ID:4Y1zSz2z0.net
放課後――
不良「よく来たな、チクるか、逃げちまうかと思ったぜ」
男「……」
不良「二度と逆らおうなんて思えねえようにしてやるよ。やっちまうぞ!」
金髪「おう!」
ピアス「豆乳パワー全開!」
男「……来い!」
40: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 18:54:17.599 ID:4Y1zSz2z0.net
金髪「オラァッ!」ブンッ
男(見える……)サッ
男「だっ!」ドゴッ!
金髪「うぐっ……!」
ピアス「豆乳キック!」シュッ
男「はあっ!」ドガッ!
ピアス「とうにゅあっ!?」
不良「な、なんだと……!?」
42: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 18:57:38.069 ID:4Y1zSz2z0.net
不良「くそぉっ!」ブンッ ブンッ
男(サキュバスの攻撃に比べたらスローモーションだ!)
不良「ちょこまかすんじゃねえよ!」ブンッ
男「でやぁっ!」
バキィッ!
不良「ぐわあっ!」ドサッ…
不良「うぐ、ぐ……」
男「今までのお金を返せとはいわない。だけど、もう俺には近づかないでくれ」ザッザッ…
不良「く、くそぉぉぉ……」
43: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 19:01:23.492 ID:4Y1zSz2z0.net
サキュバス「オッス!」
男「あっ……」
サキュバス「見てたぞ。やったじゃねえか!」
男「ありがとうございます!」
サキュバス「オラとしても、呼び出されたかいがあったってもんだ!」
男「今日はたくさんご馳走しますよ!」
44: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 19:05:08.555 ID:4Y1zSz2z0.net
<学校>
同級生A「昨日の漫才バトル見た?」
同級生B「見た見た!」
男「面白かったよねー」
ワイワイ…
不良「……」
金髪「……」
ピアス「……」
男(あれ以来、あの三人は大人しくなった。ずっとあのままならいいんだけど……)
45: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 19:08:47.985 ID:4Y1zSz2z0.net
ある日――
不良「な、なぁ……男君」
男「?」
不良「今まですまなかった! 本当にごめん!」
男「……!」
不良「三人で君にお詫びをしたいんだ。放課後、俺たちに付き合ってくれないか?」
男「……」
男(反省してるようだし……)
男「うん、分かった。付き合うよ」
47: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 19:11:49.370 ID:4Y1zSz2z0.net
男「どこまで行くの?」スタスタ
不良「こっちこっち。高校生が遊ぶのにいい店があるんだ」
男「なんだか人気のないところに来たけど……」
金髪「ククク……」
ピアス「にゅにゅにゅ……」
不良「先輩、お願いします!」
OB「おーう」ズイッ
男「!?」
50: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 19:15:08.133 ID:4Y1zSz2z0.net
OB「こいつをやればいいんだな?」
不良「はい、お願いします!」
OB「ただし、礼は弾んでもらうぜ」
不良「それはもう……」
男(くそっ、まんまと騙された!)
OB「さぁて、後輩たちを可愛がってくれた礼をしねえとな」パキポキ
男(強そうだ……!)
男(だけど俺だってサキュバスと修行したんだ……! こんな奴に負けない!)
51: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 19:18:18.857 ID:4Y1zSz2z0.net
――バキィッ!
男「ぐはぁっ!」
男「く、くそ……!」
OB「オラァッ!」
ドゴォッ!
男「ぐほっ……!」
金髪「いいぞー!」
ピアス「豆乳ーっ!」
不良「OBさんはマジで格闘技やってんだ。お前なんかが勝てる相手じゃねえんだよ!」
52: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 19:21:35.215 ID:4Y1zSz2z0.net
OB「どうだ!」バキィッ!
男「がふっ!」
OB「これで決まったろ!」
男「ま、まだまだ……。負けてないぞ……」ヨロ…
OB「くっ、こいつ……!」
OB「しつけえんだよ!」ブンッ
ガシッ!
OB「!? 俺の拳が……!」
サキュバス「……」
OB「なんだお前!?」
54: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 19:24:21.167 ID:4Y1zSz2z0.net
男「サキュバス……!」
サキュバス「すまねえ、オラが甘かった。一度やっつければ、こいつら懲りると思ってた」
サキュバス「オラがおめえにやり返せといったからこんなことに……」
男「そんなこと……ない……」
男「俺は……強くなれて……嬉しかった、から……」
サキュバス「あとはオラに任せろ」
男「は、い……」
サキュバス「おめえたち……もう謝っても許さねえぞ!」
OB「なんだとォ~!?」
56: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 19:28:39.038 ID:4Y1zSz2z0.net
OB「いっとくがな、俺の拳は石をも砕くんだぜ!」
OB「ふんっ!」グシャッ!
サキュバス「……」
OB「どうだ、ビビって声も出ねえようだな!」
OB「俺は女だろうが、手加減はしねえ! 死ねぇっ!」
ドゴォッ!
OB「へっ、決まったぜ!」
58: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 19:32:03.404 ID:4Y1zSz2z0.net
サキュバス「こんなもんか?」
OB「な……!?」
サキュバス「石は壊せても……たった一人のサキュバスは壊せないようだな」
OB「ひ、ひいい……」
サキュバス「おめえにはオラのとっておきを見せてやる」
サキュバス「サ、キュ、バ、ス……」
サキュバス「波ァーッ!!!」
ズオオオオオオッ!!!
OB「うっ、うわあああああああ……!」
あぁぁぁぁぁ……!
63: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 19:37:38.491 ID:4Y1zSz2z0.net
サキュバス「どこか飛んでいっちまったか。ま、手加減したから死んじゃいねえだろう」
不良「ひ、ひいい……!」
サキュバス「さて、次はおめえたちだ」
不良「あわわ……」
金髪「なんだこいつ……!」
ピアス「豆乳……!」
男「俺だって……まだやれる、ぞ……」ヨロ…
不良「わわぁぁっ! こいつも復活しやがった!」
64: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 19:39:41.204 ID:4Y1zSz2z0.net
サキュバス「さあ、どうする!」
男「かかって……こい……」
不良「ひいいい……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」
不良「ほら、俺たちの金を渡すから! だからもう許してくれぇぇぇっ!」
サキュバス「なら、とっとと失せろ!」
不良「ひええええっ……!」
金髪「うわあああっ……!」
ピアス「豆乳飲もう……!」
タタタッ…
67: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 19:42:38.291 ID:4Y1zSz2z0.net
サキュバス「ほら、魔界の豆だ。こいつを食え」
男「ん……」ポリッ
男「わぁっ、すっかり怪我が治った!」
男「ただし……メチャクチャマズイけど」
サキュバス「だろ? だから、オラもあまり食いたくねえんだ」
サキュバス「よくやったぞ。あのつええ奴相手に一歩も引かなかった」
男「うん……たとえ勝てなくても、絶対負けたくなかったですから」
サキュバス「そう、武術ってのは勝つためじゃねえ……絶対負けないためにやるもんなんだ」
サキュバス「もう心配ねえ。これからはおめえ一人で大丈夫だろう」
68: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 19:46:35.092 ID:4Y1zSz2z0.net
男「ってことは……行っちゃうんですか?」
サキュバス「ああ、あまりこっちに長居するのもよくねえしな」
男「寂しく……なります」
サキュバス「オラもだ。だけど、これで一生のお別れってわけじゃねえし、いつでも会えるさ」
男「そうですよね!」
サキュバス「今のおめえなら、父ちゃん母ちゃんとも仲良くできっだろ」
男「はい、後で電話してみます」
サキュバス「じゃあなー!」
男「さよならー!」
男(あまりにもさわやかに別れたおかげで、寂しさはほとんどなかった……)
69: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 19:50:30.588 ID:4Y1zSz2z0.net
<学校>
男(あれ以来、三人は俺を見るなり――)
男「おはよう」
不良「ひっ!」
金髪「あわわわ……」
ピアス「豆乳ぅ!」
男(よほど、サキュバスにやられたお灸が効いたんだろうな)
男(流石にもうリベンジに来ることはないだろう……)
70: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 19:53:13.179 ID:4Y1zSz2z0.net
男(それに今では、俺は自分でトレーニングしている)
男「ふんっ! ふんっ! ふんっ!」グッグッグッ…
男「腕立て伏せ100回、終わり!」
男「我ながら、だいぶ鍛えられてきたな」ムキッ
男(そうだ! そろそろまたサキュバスを呼び出してみるか……)
男(強くなった俺を一目見てもらうために!)
72: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 19:56:27.715 ID:4Y1zSz2z0.net
男(前に調べたのと同じやり方で……)
男「出でよ、サキュバス!」
ズオオオオオッ…
サキュバスB「……」
男「あれ? 違うサキュバスが出てきた」
男(そうか、毎回同じサキュバスを呼べるわけじゃないのか)
74: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/27(日) 19:59:22.867 ID:4Y1zSz2z0.net
サキュバスB「貴様か、俺を呼び出したのは」
男「は、はいっ!」
サキュバスB「ほう……一見軟弱そうだが、それなりに強くはあるようだ」
サキュバスB「いいだろう。超エリートサキュバスである俺様が、直々に鍛え上げてやろう!」
男「えええええ!?」
男(どうやら、俺の修行の日々はまだまだ続きそうだ)
<終わり>
サキュバス「オッス、オラサキュバス!」男「え……?」