1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 00:29:20.429 ID:yDGf86zT0.net
方治「おや、志々雄様。包帯を新しくされたのですか」
志々雄「ああ、同じのをずっと巻いてると火傷に響くんでな」
方治「心なしか、いつもの包帯よりも見栄えがいいような……」
志々雄「そりゃそうだろう」
志々雄「この包帯には全財力の五分の三をつぎ込んだからな」
方治「何やってんですか!?」
志々雄「おいおい方治、もっと驚いてくれなきゃハリがねえな」
方治「驚いてるというより、怒ってるんですよ!」
4: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 00:33:26.517 ID:yDGf86zT0.net
方治「本当に金庫の金がなくなってる……!」
方治「あれは上海の武器組織から甲鉄艦を購入するための資金だったんですよ!?」
方治「包帯なんかに使っちゃって、どうしてくれるんですか!?」
志々雄「まあ、いいじゃねえか。金ならまた貯めれば」
志々雄「それに甲鉄艦なんかなくとも、国盗りならできるさ」
方治「戦力的に劣る我々が明治政府を打倒するためには、東京砲撃が絶対に必要――」
志々雄「分かった分かった、悪かったよ」
方治「はぁ~……」
宗次郎「あれ方治さん、どうしたんです?」
方治「放っておいてくれ……」
方治「ところで志々雄様、その包帯は普通の包帯と比べてどうすごいんですか?」
志々雄「まず、こうやって遠くの物を取れる」シュルルッ パシッ
宗次郎「おおっ、すごいや」
方治(手で取れよ……)
志々雄「それと耐火性も抜群だ」
志々雄「こうやって炎に近づけても燃えることはねェ」
ボッ…
宗次郎「へぇ~、よく出来てますね」
志々雄「従来の包帯だと、焔霊を使うとたまに燃え移ったんだが、その心配はなくなった」
方治「炎を使う技をやらなきゃいいだけの気が……」
志々雄「他には気配を感じ取ることもできる」
志々雄「お、動いた」ピクッ シュルルッ
方治「うわっ!?」
志々雄「そこにいるな……宇水」
宇水「なぜバレたのだ!?」
方治「う、宇水!」
方治「何故こんなところに……!」
宇水「無論、志々雄を狙っていたのだ」
包帯『どうせ本気で狙ってないくせに』
宇水「な、なんだと!?」
志々雄「この通り、言葉も喋るし、多少は心を読むこともできる」
宇水「くうう……! 心眼を持つ私が心を読まれてしまうとは……!」
包帯『だが、その心の弱さを克服すれば、お前はもっとすごい使い手になれる』
宇水「なにっ!?」
包帯『今こそ虚栄の心を脱ぎ捨て、真の武人となるのだ!』
宇水「う、うむ……」
方治「おおっ、“かうんせりんぐ”までこなすとは……」
宗次郎「これで宇水さんが化けてくれるといいですね」
志々雄「新たな修羅の誕生だな」ニヤッ
由美「志々雄様……お相手しますわ」
志々雄「おう由美、今入るぜ」
志々雄「今夜は包帯を使った“技”でたっぷり楽しませてやる」シュルルル…
由美「あんっ……志々雄様ったら……」
方治(夜の営みでも役に立つとは!)
方治「……なるほど」
方治「その包帯が大したものだということはよく分かりました」
志々雄「だろ?」
包帯『褒めてくれてありがとう』
方治「しかし、甲鉄艦を購入できなくなった分、志々雄様がしっかり働いて下さいよ」
志々雄「ああ、俺に任せときな。この包帯巻いとけば十五分以上動けるだろうしな」
包帯『頑張りましょう』
やがて、志々雄は剣心たちとの対決の時を迎えた。
方治「十本刀は他の仕事があるんで、志々雄様が戦って下さい」
志々雄「包帯代分働かなきゃならねェんでな、俺が直々に相手してやる」
剣心「お前の野望は絶対に阻止する!」
斎藤「いきなり大将自ら出てくるとは……阿呆が」
蒼紫「やはり貴様は危険だと判断した。闇に葬らせてもらう」
左之助「弱肉強食の世なんざ俺が許さねェぜ!」
蒼紫「行くぞ」チャキッ
志々雄「まずはテメェからか」
蒼紫「回天剣舞六連!!!」
ギギギギギギンッ!
蒼紫(なんという硬い包帯だ!)
志々雄「シャアアアアッ!」ザシュッ
蒼紫「ぐあっ……!」ドサッ
方治「おおっ、あの四乃森蒼紫を苦もなく!」
斎藤「牙突零式!!!」
ズドォッ!
志々雄「その程度じゃ、この包帯は貫けねェな」
斎藤「なんだと……!?」
志々雄「紅蓮腕!!!」
ドゴォォォォォン!
斎藤「ぐ……!」ドサッ
方治「やった! 斎藤一をも倒した!」
剣心「九頭龍閃!!!」
ドガガガガガガガガガガッ!
志々雄「どうした? 蚊が止まったほどにも感じねェぞ」
剣心「九頭龍閃が全く通じないでござるか……」
剣心(ならば、飛天御剣流奥義――)
剣心「天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)!!!」
ガキィンッ!
志々雄「これが奥義か……ガッカリだぜ」
剣心「なんという防御力でござる……!」
志々雄「華々しく散りな! 終の秘剣、火産霊神(カグヅチ)!!!」
ゴォワァァァァァッ!
剣心「ここまで……でござるか……」ボォォッ…
方治(強し強し強し強し強し! あの包帯を巻いた志々雄様はまさしく最強だ!)
左之助「こうなったら……」
左之助「津南特製の炸裂弾を喰らいやがれ!」ブオンッ
志々雄「!?」
方治「いかん! いくらなんでもあれを喰らったら――」
ドゴォォォォォォォン!!!
方治「志々雄様ァァァァァ!!!」
左之助「やったぜ……!」
プスプスプス…
志々雄「ぐっ……!」
方治「おおっ、生きておられましたか!」
方治(いや、だが包帯が黒焦げに……!)
包帯『志々雄様……』
志々雄「!」
包帯『私は……ここまでのようです……』
包帯『どうか……国盗りを……』ガクッ
志々雄「包帯……!」
方治「包帯イイイィィィィィッ!!!」
志々雄「!」ハラハラ…
方治「包帯が勝手にほどけて……あ、あれは!?」
志々雄「これは……!」
方治「志々雄様の傷が治っておられる!」
方治「最後の力で火傷を治したのか! なんという忠義!」
方治「包帯……全財力の五分の三をつぎ込む価値がお前にはあった!」グスッ
左之助「ウ、ウソだろ……!」
志々雄「テメェを始末すりゃもう邪魔者はいねェ……シャアアアアッ!」
ザンッ!
左之助「ち、くしょう……!」ドサッ…
方治「おめでとうございます! これで国盗りは成ったも同然です!」
志々雄「……」
方治「しかし、包帯は……残念でしたね」
志々雄「残念? なにが残念なんだ?」
方治「え?」
志々雄「所詮この世は弱肉強食! 包帯も俺の糧に過ぎなかったというわけだ!」
志々雄「ハーッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!」
方治(なんというお方だ……! 忠義を尽くした包帯の死を笑い飛ばしてしまうとは……!)
方治(やはり日本を強くできるのは、このお方しかいない……!)
こうして剣心達を倒し、火傷をも克服した志々雄真実は、ついに国盗りを成し遂げた。
志々雄「方治、国家運営は上手くいっているか?」
方治「はい、徹底的に海外の知識と技術を取り入れ、あらゆる産業を改革させ、生産力を増強」
方治「軍も再編成を行い、今や明治政府時代の何倍も強力な軍隊になりつつあります」
方治「歯向かう者には十本刀を差し向け、もはや志々雄様に逆らう者は一人もおりません」
志々雄の主導のもと、日本が列強に追いつくのは時間の問題であった。
そして、志々雄真実の邸宅の片隅には小さな墓があった――
志々雄「地獄で待ってな……。俺が地獄に落ちたらまた巻いてやるぜ」
― 終 ―
元スレ
方治「本当に金庫の金がなくなってる……!」
方治「あれは上海の武器組織から甲鉄艦を購入するための資金だったんですよ!?」
方治「包帯なんかに使っちゃって、どうしてくれるんですか!?」
志々雄「まあ、いいじゃねえか。金ならまた貯めれば」
志々雄「それに甲鉄艦なんかなくとも、国盗りならできるさ」
方治「戦力的に劣る我々が明治政府を打倒するためには、東京砲撃が絶対に必要――」
志々雄「分かった分かった、悪かったよ」
9: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 00:36:28.645 ID:yDGf86zT0.net
方治「はぁ~……」
宗次郎「あれ方治さん、どうしたんです?」
方治「放っておいてくれ……」
方治「ところで志々雄様、その包帯は普通の包帯と比べてどうすごいんですか?」
志々雄「まず、こうやって遠くの物を取れる」シュルルッ パシッ
宗次郎「おおっ、すごいや」
方治(手で取れよ……)
12: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 00:40:29.285 ID:yDGf86zT0.net
志々雄「それと耐火性も抜群だ」
志々雄「こうやって炎に近づけても燃えることはねェ」
ボッ…
宗次郎「へぇ~、よく出来てますね」
志々雄「従来の包帯だと、焔霊を使うとたまに燃え移ったんだが、その心配はなくなった」
方治「炎を使う技をやらなきゃいいだけの気が……」
14: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 00:42:32.428 ID:yDGf86zT0.net
志々雄「他には気配を感じ取ることもできる」
志々雄「お、動いた」ピクッ シュルルッ
方治「うわっ!?」
志々雄「そこにいるな……宇水」
宇水「なぜバレたのだ!?」
方治「う、宇水!」
15: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 00:44:36.639 ID:yDGf86zT0.net
方治「何故こんなところに……!」
宇水「無論、志々雄を狙っていたのだ」
包帯『どうせ本気で狙ってないくせに』
宇水「な、なんだと!?」
志々雄「この通り、言葉も喋るし、多少は心を読むこともできる」
宇水「くうう……! 心眼を持つ私が心を読まれてしまうとは……!」
18: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 00:47:46.825 ID:yDGf86zT0.net
包帯『だが、その心の弱さを克服すれば、お前はもっとすごい使い手になれる』
宇水「なにっ!?」
包帯『今こそ虚栄の心を脱ぎ捨て、真の武人となるのだ!』
宇水「う、うむ……」
方治「おおっ、“かうんせりんぐ”までこなすとは……」
宗次郎「これで宇水さんが化けてくれるといいですね」
志々雄「新たな修羅の誕生だな」ニヤッ
20: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 00:50:04.307 ID:yDGf86zT0.net
由美「志々雄様……お相手しますわ」
志々雄「おう由美、今入るぜ」
志々雄「今夜は包帯を使った“技”でたっぷり楽しませてやる」シュルルル…
由美「あんっ……志々雄様ったら……」
方治(夜の営みでも役に立つとは!)
23: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 00:53:14.009 ID:yDGf86zT0.net
方治「……なるほど」
方治「その包帯が大したものだということはよく分かりました」
志々雄「だろ?」
包帯『褒めてくれてありがとう』
方治「しかし、甲鉄艦を購入できなくなった分、志々雄様がしっかり働いて下さいよ」
志々雄「ああ、俺に任せときな。この包帯巻いとけば十五分以上動けるだろうしな」
包帯『頑張りましょう』
26: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 00:57:29.095 ID:yDGf86zT0.net
やがて、志々雄は剣心たちとの対決の時を迎えた。
方治「十本刀は他の仕事があるんで、志々雄様が戦って下さい」
志々雄「包帯代分働かなきゃならねェんでな、俺が直々に相手してやる」
剣心「お前の野望は絶対に阻止する!」
斎藤「いきなり大将自ら出てくるとは……阿呆が」
蒼紫「やはり貴様は危険だと判断した。闇に葬らせてもらう」
左之助「弱肉強食の世なんざ俺が許さねェぜ!」
27: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 01:00:15.970 ID:yDGf86zT0.net
蒼紫「行くぞ」チャキッ
志々雄「まずはテメェからか」
蒼紫「回天剣舞六連!!!」
ギギギギギギンッ!
蒼紫(なんという硬い包帯だ!)
志々雄「シャアアアアッ!」ザシュッ
蒼紫「ぐあっ……!」ドサッ
方治「おおっ、あの四乃森蒼紫を苦もなく!」
28: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 01:02:33.520 ID:yDGf86zT0.net
斎藤「牙突零式!!!」
ズドォッ!
志々雄「その程度じゃ、この包帯は貫けねェな」
斎藤「なんだと……!?」
志々雄「紅蓮腕!!!」
ドゴォォォォォン!
斎藤「ぐ……!」ドサッ
方治「やった! 斎藤一をも倒した!」
29: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 01:04:28.431 ID:yDGf86zT0.net
剣心「九頭龍閃!!!」
ドガガガガガガガガガガッ!
志々雄「どうした? 蚊が止まったほどにも感じねェぞ」
剣心「九頭龍閃が全く通じないでござるか……」
剣心(ならば、飛天御剣流奥義――)
31: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 01:08:05.804 ID:yDGf86zT0.net
剣心「天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)!!!」
ガキィンッ!
志々雄「これが奥義か……ガッカリだぜ」
剣心「なんという防御力でござる……!」
志々雄「華々しく散りな! 終の秘剣、火産霊神(カグヅチ)!!!」
ゴォワァァァァァッ!
剣心「ここまで……でござるか……」ボォォッ…
方治(強し強し強し強し強し! あの包帯を巻いた志々雄様はまさしく最強だ!)
34: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 01:11:10.309 ID:yDGf86zT0.net
左之助「こうなったら……」
左之助「津南特製の炸裂弾を喰らいやがれ!」ブオンッ
志々雄「!?」
方治「いかん! いくらなんでもあれを喰らったら――」
ドゴォォォォォォォン!!!
方治「志々雄様ァァァァァ!!!」
左之助「やったぜ……!」
37: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 01:15:06.216 ID:yDGf86zT0.net
プスプスプス…
志々雄「ぐっ……!」
方治「おおっ、生きておられましたか!」
方治(いや、だが包帯が黒焦げに……!)
包帯『志々雄様……』
志々雄「!」
包帯『私は……ここまでのようです……』
包帯『どうか……国盗りを……』ガクッ
志々雄「包帯……!」
方治「包帯イイイィィィィィッ!!!」
39: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 01:18:39.550 ID:yDGf86zT0.net
志々雄「!」ハラハラ…
方治「包帯が勝手にほどけて……あ、あれは!?」
志々雄「これは……!」
方治「志々雄様の傷が治っておられる!」
方治「最後の力で火傷を治したのか! なんという忠義!」
方治「包帯……全財力の五分の三をつぎ込む価値がお前にはあった!」グスッ
左之助「ウ、ウソだろ……!」
志々雄「テメェを始末すりゃもう邪魔者はいねェ……シャアアアアッ!」
ザンッ!
左之助「ち、くしょう……!」ドサッ…
40: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 01:21:25.309 ID:yDGf86zT0.net
方治「おめでとうございます! これで国盗りは成ったも同然です!」
志々雄「……」
方治「しかし、包帯は……残念でしたね」
志々雄「残念? なにが残念なんだ?」
方治「え?」
志々雄「所詮この世は弱肉強食! 包帯も俺の糧に過ぎなかったというわけだ!」
志々雄「ハーッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!」
方治(なんというお方だ……! 忠義を尽くした包帯の死を笑い飛ばしてしまうとは……!)
方治(やはり日本を強くできるのは、このお方しかいない……!)
41: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 01:24:06.762 ID:yDGf86zT0.net
こうして剣心達を倒し、火傷をも克服した志々雄真実は、ついに国盗りを成し遂げた。
志々雄「方治、国家運営は上手くいっているか?」
方治「はい、徹底的に海外の知識と技術を取り入れ、あらゆる産業を改革させ、生産力を増強」
方治「軍も再編成を行い、今や明治政府時代の何倍も強力な軍隊になりつつあります」
方治「歯向かう者には十本刀を差し向け、もはや志々雄様に逆らう者は一人もおりません」
志々雄の主導のもと、日本が列強に追いつくのは時間の問題であった。
42: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/05/09(木) 01:27:31.336 ID:yDGf86zT0.net
そして、志々雄真実の邸宅の片隅には小さな墓があった――
志々雄「地獄で待ってな……。俺が地獄に落ちたらまた巻いてやるぜ」
― 終 ―
志々雄「この包帯には全財力の五分の三をつぎ込んだ」方治「何やってんですか!?」